イタリアからのてがみ
麦畑
2009.7. 2
6月から一気に乾燥がはじまって、ほぼ、一滴の雨のないまま9月になります。この時期に飛行機からイタリアの地上を見ると、この国は、何と「痩せている国!」と感じるはずです。ところが、地上に近づくにつれて、その痩せて見える褐色の大地が、麦の広大な畑であることがわかるはずです。麦の間に緑の見えるのがぶどうで、その近くで風にあおられて銀色の輝きを見せるのがオリーブです。もうこの時期になると広葉樹のすべては、その乾燥で、葉を落としています。麦の畑に少し近寄ってみると、真紅のポピーが畑の間に群生しています。このポピーという花は、ずいぶん長い間咲いているように感じます。6月から3ヶ月くらいは見ることができます。きっと全く同じ花ではないのでしょう。麦畑の間にポピーのあるシーンは、印象派の画家が好んだ風景ですが、薄い褐色の畑の中の真紅は、絵心のない者でも、思わず立ち止まるほどです。
イタリアの誇るパスタ、Pizzaなどのための広大な麦畑なのです。この広い麦の畑を見ると、幼児から老人、犬や猫までPastaを食べている国だということがわかるはずです。
日本人の寿命の長いのは?最近多くの国に知られるようになったことですが、ふと考えるに、食べ物に多くの原因があるのでは?と思うことがあります。日本では、イタリアのように幼児から老人に至るまで、同じものを食べているとは思いません。
もう収獲の時期です。大きな機械で麦を集めたあとには、大きな(私だけが言っていますが、)のり巻きのような麦の茎のロールが出来てきます。牛や豚のえさになるのです。イタリアはPastaや粉だけではありません。刈り取りの終わった麦畑のその大きなのり巻きを食べた動物やそれから出来るチーズもなかなかのものがあります。胃の刺激のためと、骨粗しょう症の予防のために、年齢を重ねた人でもたまには、イタリアの粉とチーズも食べて下さい。粉で作られるPastaの中に地中海の海の香りを含んだ強烈な太陽の光とポピーの味を、チーズなどからは、強烈な大地の臭いと牛やひつじの体温を感じるかも?と思うのです。